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2021年度インド国家予算案発表に伴う会計税務アップデート

本記事は、インドで2021年2月に行われた2021年度国家予算案の発表に伴う会計税務分野の主要な改正点についてご紹介していきます。 日本経営が注目する改正点をご紹介するほか、改正内容から考える傾向と今後についてもご説明します。

是非、自社のインドビジネスの参考にしていただければと思います。

インド法人税関連の改正点

インド国内における法人税に関する改正点についてご紹介します。 

 

1) 税務監査必要基準の引き上げ

税務監査の要件は、前年度売上高に関して基準が設定されています。こちらの基準が変更となり、5,000万ルピーが、1億ルピーへ引き上げられました。本要件が適用される企業は、全ての支払に対する現金支払いの割合が5%を超えていない企業となります。2020年度の国家予算案発表においても1,000万ルピーから5,000万ルピーへ変更となったことから、税務監査のコンプライアンスは段階的に緩和されていることがわかります。皆様におかれましては、税務監査適用のご判断を再度行っていただければと思います。

  従来基準 変更後基準
年間売上 5,000万ルピー 1億ルピー

 

2) TDSとTCS取引に関して

制度としてはこちらの方法を使用する事も可能です。緊急事態や仕方が無い場合はこちらの方法で対応する事も選択できます。

 

3) スタートアップ免税期間延長

スタートアップ企業向けの法人税免除要件が1年間延長されました。以前は2021年4月1日までに会社設立を行う場合に免税を受けられるという要件でしたが、1年間延長され、2022年4月1日までに会社を設立すると免税を受けられます。以前の制度では、2016年4月1日から2021年4月1日までに設立されたスタートアップの内、売上が10億ルピー以下の場合、過去10年間のうち連続する3年間の100%の所得控除が可能となっていました。

加えて、2022年3月31日までに行なった不動産の売却について、売却益にかかる長期キャピタルゲイン課税額は、スタートアップ企業に株式投資を行うことで免税申請が受けられるようになります。

 

4) MAT計算時の配当収入費用

最低代替税(MAT: Minimum Alternate Tax)とは、通常の法人税計算額と比べて、会計上の利益に最低代替税率をかけると高くなる場合、通常の法人税計算額の代わりに支払う税制度のことです。これらは租税条約を適用した際に最低代替税率よりも低い税率で課税される為、配当収入は含めずに計算されます。

 

5) 偽装請求書に対するペナルティ

請求書を偽装する形でGST納税額を軽減する不正は頻発しており、2021年2月にも偽装に加担した勅許会計士が逮捕される事件が起こるなど、GST制度の抜け穴を突く重大な不正事案については以前から懸念の声が上がっていました。特に輸出向け商品にかかるGSTの仕入税額控除を不正に利用するケースは多発しているため、今回の法改正により、インボイス請求額が2,000万ルピーを超える場合、ペナルティとして資産差し押さえが可能となります。GSTの不正利用に関するペナルティは様々に設定されており、不正発覚時にはGST納税額か1万ルピー以上の罰金、不正に加担した場合は2万5,000ルピー以下の罰金などが科せられます。

 

6) のれんの償却

のれんの償却費は、事業再建あるいは特定の購入に関わらず損金算入が認められないと発表されました。そもそも会計上の「のれん」とは、企業の買収・合併時に無形資産として計上する際の勘定科目を指します。この「のれん」は、企業買収の金額が買われた企業の純資産の時価より高い場合の差額について、時価には現れないブランドや商号の価値として一般的にみなされます。

「のれん」の処理については意見が分かれるところで、日本基準のような20年以内に償却する場合もあれば、IFRS(国際財務報告基準)のように償却しない場合もあります。今回は税法上の処理に焦点が当てられており、課税所得計算時にのれんの償却費は損金算入が認められないと新たに規定されました。なお、2020年4月1日以前に行ったのれんの償却費は、のれんの購入価格から控除されます。

インド国内個人向け確定申告の改正点

インド国内における個人の確定申告に関する改正点についてご紹介します。

 

1) 期限変更(遅延申告・修正申告等)

遅延申告/修正申告の期限が短縮されました。申告の対象年度の翌期末から3ヵ月前(すなわち対象年度の翌年12月末)を期限となります。

 

2) プロビデンドファンドの利息に対する課税

プロビデンドファンド(Providend Fund)とは、インドの社会保険制度の一種で、退職金積立基金と言われます。以前は拠出金から得られる利子所得は非課税でしたが、今回の改正により、拠出額のうち年間25 万ルピーを超える額についての利子所得は、課税対象となります。

 

3) 無申告者に対するペナルティ

申告期限後2年間申告を行わず提出可能期限を超過した無申告者には通常の2倍もしくは5%のいずれか高い税率で課税されます。またPAN(納税者番号)を取得していない場合はTDS税率も規定よりも高くなります。

インドの会計や税務制度は法改正が多いため、都度アップデートをしていく必要があります。新型コロナウイルスの蔓延が与える影響も大きいと予想されるため、政府の動向には今まで以上に注視していく必要があると言えます。

 


2021年度の国家予算内で発表された会計税務関連のアップデートは、細かなものが多く、例年と比較すると大きなインパクトを与えるような発表ではありませんでした。

恐らくはコロナ禍の中でネガティブな発表や改正は出来ないという想いがあったように思います。まだ今後注目されている内容は多くあり、例えば「2019年に発表された法人税率の終了はいつなのか」「個人所得税の選択制終了はいつなのか」その他もう少し先の話だとは思いますが「相続税等の導入はいつになるのか」と、このような部分はまだ発表がされていないままで、引き続き注目が必要となります。

インドでは国家予算以外でもアップデートでありますので、これからも常時最新情報を追いかけていければと思います。

古東 翔二朗(インド法人責任者)

税理士法人日本経営(現 日本経営ウィル税理士法人)に入社後、主に税務顧問・財務コンサルティング業務に従事し、2016年よりタイの提携事務所に2年間出向。日系企業の進出支援や記帳代行サービス、保険業務の日本人コーディネーター業務を行う。 2018年11月よりインド(デリー/グルガオン)へ赴任。

 

【免責事項】 本記事でご提供するアドバイス及び情報等は、記事作成時点で私どもが把握している事実及び情報、法律等に基づいています。また、本記事内でご紹介させていただいた内容のうち、法律・制度に関するものは、一般的な内容を分かりやすく解説したものです。貴殿の実行及び意思決定等につきまして、弊社は助言の範囲を超えるものではないことをあらかじめご了承ください。 インド 会計事務所  

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